(年齢については現時点のものだが誕生日や数え方によって若干の誤差がある可能性がある。また通し番号は便宜的なもので特に意味はない。)
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追記1:民主党候補者、NY市長ビル・デブラシオが9/20に撤退
追記2:民主党候補者、下院議員ティム・ライアンが10/24に撤退
追記3:民主党候補者、下院議員ベト・オルークが11/1に撤退
追記4:共和党候補者、元下院議員マーク・サンフォードが11/12に撤退
追記5:前マサチューセッツ州知事デヴァル・パトリックが11/14に民主党から立候補
追記6:民主党候補者、フロリダ州ミラマー市長ウェイン・メサムが11/20に撤退
追記7:前NY市長マイケル・ブルームバーグが11/24に民主党から立候補
追記8:民主党候補者、元下院議員ジョー・セスタックが12/1に撤退
追記9:民主党候補者、モンタナ州知事スティーブ・ブロックが12/2に撤退
追記10:民主党候補者、上院議員カマラ・ハリスが12/3に撤退
追記11:民主党候補者、前住宅都市開発長官フリアン・カストロが1/2に撤退
追記12:民主党候補者、作家マリアン・ウィリアムソンが1/10に撤退
追記13:民主党候補者、上院議員コーリー・ブッカーが1/13に撤退
追記14:民主党候補者、元下院議員ジョン・ディレイニーが1/31に撤退
追記15:共和党候補者、元下院議員ジョー・ウォルシュが2/7に撤退
追記16:民主党候補者、実業家アンドリュー・ヤンが2/11に撤退
追記17:民主党候補者、上院議員マイケル・ベネットが同じく2/11に撤退
追記18:民主党候補者、前マサチューセッツ州知事デヴァル・パトリックが2/12に撤退
追記19:民主党候補者、実業家トム・ステイヤーが2/29に撤退
追記20:民主党候補者、前サウスベンド市長ピート・ブティジェッジが3/1に撤退
追記21:民主党候補者、上院議員エイミー・クロブシャーが3/2に撤退
追記22:民主党候補者、前NY市長マイケル・ブルームバーグが3/4に撤退
追記23:民主党候補者、上院議員エリザベス・ウォーレンが3/5に撤退
追記24:共和党候補者、元マサチューセッツ州知事ビル・ウェルドが3/18に撤退
追記25:民主党候補者、下院議員トゥルシー・ギャバードが3/19に撤退
追記26:民主党候補者、上院議員バーニー・サンダースが4/8に撤退
民主党
1: ジョー・バイデン(76)Joe Biden前副大統領で初のカトリック教徒の副大統領。デラウェア州選出の元上院議員で当選回数7回、36年に渡る議員生活を誇る。上院議員時代は外交委員長や司法委員長を歴任した。外交と司法政策に精通する民主党の重鎮である。 アイルランド系。 |
2: バーニー・サンダース(78)Bernie Sandersバーモント州選出の上院議員で元下院議員、元バーリントン市長。 2016年大統領選予備選をヒラリー・クリントンと争って旋風を巻き起こした。現在民主党執行役員だが無所属。無所属議員としては米国史上最長のキャリアを持つ。民主社会主義者を標榜する。ポーランド系ユダヤ人移民2世。 2020年4/8に大統領選から撤退。 |
3: エリザベス・ウォーレン(69)Elizabeth Warrenマサチューセッツ州選出の上院議員。法学者。オバマ政権で大統領補佐官、消費者金融保護局財務長官顧問を務める。オキュパイ・ウォールストリート運動の思想的指導者。「ウォーレン」は最初の夫の姓で再婚した今でもそのまま名乗っている。ネイティブ・アメリカンの祖先がいる。2020年3/5に大統領選から撤退。 |
以上が現時点では知名度と支持率で先行するビッグ3と言える。いずれも経験豊富であるが言い換えれば古株でもある。対して新鮮な顔ぶれも続々と台頭してきている。
5: ベト・オルーク(46)Beto O'Rourkeテキサス州選出の下院議員。元エルパソ市議会議員。2018年の中間選挙上院選では共和党現職のテッド・クルーズに対し、保守州テキサスでは異例の僅差となる得票率差48.3-50.9%まで迫った。アイルランド系でカトリック教徒。スペイン語での通称「Beto」を名乗り、スペイン語に堪能。2019年11/1に大統領選から撤退。 |
2019年9月12日にヒューストンで開催される第3回民主党候補者討論会では支持率や寄付額で参加者が10人に絞られる。選ばれたのは上の6人とこの4人である。
7: エイミー・クロブシャー(59)Amy Klobuchar女性として初のミネソタ州選出上院議員で元ミネソタ州ヘネピンの主任検察長。キャバノー米最高裁判事とバー司法長官を公聴会で厳しく追及した。政治資金問題解決、投票権法改正、環境対策を公約に掲げる。超党派主義を自認する。党内では穏健中道派と目され、サンダースら急進派とは距離を置く。2020年3/2に大統領選から撤退。 |
9: フリアン・カストロ(44)Julian Castroメキシコ移民の孫で元サンアントニオ市長。オバマ政権で住宅都市開発長官を務める。双子の兄弟にホアキン・カストロ下院議員がいる。スタンフォード大、およびハーバード大ロースクール卒業。中学時代に日本語を勉強していた。ベト・オルーク候補とは同じテキサス州で支持地盤が重なる。2020年1/2に大統領選から撤退。 |
10: アンドリュー・ヤン(44)Andrew Yangニューヨーク州スケネクタディ出身の起業家。コロンビア大のロー・スクールを卒業し企業弁護士となる。その後スタートアップ企業で成功し売却。2011年に非営利組織「ベンチャー・フォー・アメリカ」を設立する。ベーシックインカムを提唱している。台湾移民2世。実は2017年にすでに大統領選立候補を表明している。2020年2/11に大統領選から撤退。 |
9月12日の討論会で絞られた上記10人の他にも民主党の候補はまだまだいる。以下は選挙戦が進むにつれて撤退していく可能性も高いが、まずは個性的な若い候補を挙げる。
12: ティム・ライアン(45)Tim Ryanオハイオ州選出の下院議員。まだ45歳ながら連続9期当選している民主党の重鎮的存在。中道穏健派と目される。下院民主党院内総務に立候補しナンシー・ペロシに敗れるも善戦して名を上げた。企業減税や製造業の雇用など国内産業や労働者に向けた政策を唱える。2019年10/24に大統領選から撤退。 |
13: ウェイン・メサム(45)Wayne Messamフロリダ州ミラマー市長。フロリダ州立大でアメフト選手として活躍した。ジャマイカ移民2世。2015年ミラマー市長選で4選していた現職に勝って当選、2019年に86%の得票率で再選を果たす。2019年11/20に大統領選から撤退。 |
次はそれほど話題に登っていないように思われる政治家候補者を挙げていく。ここにニューヨーク市長のデブラシオがいるというのはちょっと意外だ。しかし過去ジュリアーニ等の例を見ても、NY市長の立候補は知名度の割にいざ出るとあまり盛り上がらないことが多い。ブルームバーグが毎回出る出る言われて結局出ないのもむべなるかな。(追記:結局出た)
14: ビル・デブラシオ(58)Bill de Blasioニューヨーク市長。市長選では73%の得票率で当選。元市議、元市政監督官。元左翼活動家。妻はアフリカ系。市政では格差解消政策や労働者保護、教育支援制度、そしてマイノリティの権利保護などを進めた。地元ニューヨークでは大統領選出馬に対して批判的な声も多い。2019年9/20に撤退。 |
15: マイケル・ベネット(54)Michael Bennetコロラド州選出の上院議員、実業家、法律家。インドのニューデリーで生まれた。社会保障の充実と教育支援制度を訴える。超党派、穏健派と言われている。2020年2/11に大統領選から撤退。
社会保障の充実
社会保障の充実
社会保障の充教育制度改革を訴える。
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16: スティーブ・ブロック(53)Steve Bullockモンタナ州知事で同州の元司法長官。保守色の強いモンタナ州で知事2期目を務め、超党派と目される。選挙資金規制の強化などを公約に掲げている。2019年12/2に大統領選から撤退。 |
17: ジョン・ディレイニー(56)John Delaneyメリーランド州選出の元下院議員。二大政党で最初に立候補を表明し、2017年からキャンペーンを行ってきた。穏健派でサンダースやウォーレンの政策を非現実的と批判している。2020年1/31に大統領選から撤退。 |
18: ジョー・セスタック(67)Joe Sestakペンシルベニア州選出の元下院議員。退役海軍中将で30年以上の軍歴を持つ。アフガニスタン戦争やイラク戦争では空母戦闘群の司令官。クリントン政権の国家安全保障スタッフも努めている。2019年12/1に大統領選から撤退。 |
今回の選挙では現職のトランプ大統領が非政治家であるせいか、対抗する候補者には起業家のアンドリュー・ヤンを除くと政治家が多くを占める。しかし他にも非政治家の候補はいる。
19: トム・ステイヤー(62)Tom Steyer富豪。トランプ大統領の弾劾を議会に働きかける大規模なキャンペーンを展開していた。今年1月に大統領選には出ないと明言していたが7月に翻して立候補を決めた。2020年2/29に大統領選から撤退。 |
20: マリアン・ウィリアムソン(67)Marianne Williamsonベストセラー作家、講演者。 ヒューストン生まれ。ポモナ・カレッジで演劇と哲学を学ぶ。ハリウッドで人気のある講演者として知られセレブとも交流がある。著書に『愛への帰還』『女性の価値』など。2014年カリフォルニア州の下院議員選挙に独立候補として立候補し落選。2020年1/10に大統領選から撤退。 |
次は途中参加組。この時期に参戦するだけあってそれなりのバックボーンはある。
デヴァル・パトリック(63)Deval Patrick2019年11/14に大統領選に立候補を表明。前マサチューセッツ州知事。元連邦検事。クリントン政権時代の公民権担当の司法次官補。その後黒人として初めてマサチューセッツ州知事に当選し2007年から2期8年を務めた。オバマ前大統領に近い穏健派と目される。2020年2/12に大統領選から撤退。 |
共和党
今回の選挙では現職で再選を目指す共和党の大統領がいるにもかかわらず、その共和党から対立候補が3人も出ている。
21: ビル・ウェルド(74)Bill Weld元マサチューセッツ州知事、法律家。元連邦検事、元連邦司法次官補。1994年に71%のマサチューセッツ州知事選史上最高の得票率で州知事に再選された。2016年大統領選挙ではリバタリアン党の副大統領候補になっている。同性婚法制化を支持。2020年3/18に大統領選から撤退。 |
22: ジョー・ウォルシュ(57)Joe Walshイリノイ州選出の元下院議員。保守系ラジオ番組の司会者でティーパーティのメンバー。保守の立場からトランプ大統領を激しく批判している。2020年2/9に大統領選から撤退。 |
23: マーク・サンフォード(59)Mark Sanford元サウスカロライナ州知事で元下院議員。トランプ政権の排他的な移民政策や通商政策を批判。政治家として25年のキャリアがある。今回の選挙では政府の負債と支出問題を主な争点に掲げている。2019年11/12に大統領選から撤退。 |
撤退済
以下は大統領選に立候補したがこの時点(2019年9/12)までで撤退している候補者たち。大統領選関連の記事ではちょくちょく言及されることがある紹介しておく。いずれも民主党候補である。
リチャード・オジェダ(48)Richard Ojeda前ウェストバージニア州上院議員、元陸軍空中挺進部隊少佐。24年の軍務経験がありイラクやアフガニスタンにも派遣されている。炭鉱地域出身でトランプ大統領の政策を激しく非難している。石炭鉱山労働組合の支援を受け、連邦下院選を目指していた。2018年11月11日に立候補表明、2019年1月25日に撤退。 |
エリック・スウォルウェル(38)Eric Swalwellカリフォルニア州選出の下院議員。ミネソタ州生まれ。下院情報特別委員会や下院司法委員会の委員を務め、前回大統領選へのロシア介入に関する調査に関わる。銃規制を訴え全米ライフル協会を批判している。4月8日に立候補表明、7月8日に撤退。 |
マイク・グラベル(89)Mike Gravelアラスカ州選出の元上院議員。かつてニクソン政権に対抗して一人でフィリバスターを敢行するなどして徴兵制度を廃止させた。2008年にリバタリアン党に移籍、その後政界を引退。4月8日に立候補した際はあらかじめ2回の予備討論会までの選挙活動で、その後は最も進歩的な候補者の支援に回ると表明していた。8月6日に撤退しサンダース候補を支援すると発表。 |
ジョン・ヒッケンルーパー(67)John Hickenlooper前コロラド州知事、実業家、地質学者。元デンバー市長。穏健派と目される。自らはワシントンのアウトサイダーと位置付け、大企業の独占状態に対抗する政策を掲げる。3月4日に立候補を表明し、8月15日に撤退。州内での人気は高く、今後は上院選で現職の共和党議員に挑む。 |
ジェイ・インスレー(68)Jay Insleeワシントン州知事。元下院議員、元州下院議員。弁護士として10年、州議員として10年、連邦議員として15年のキャリアを持つ。州政ではトランプ政権の排他的移民政策に反対、2045年までに再生エネルギー100%を法制化など。3月1日に立候補表明、自身を「気候変動の候補者」と呼び、環境政策を第一に掲げる。8月21日に撤退。 |
セス・モールトン(40)Seth Moultonマサチューセッツ州選出の下院議員、元海兵隊員。ハーバード大で物理学の学士号を取得。海兵隊員としてイラク戦争に4回派遣され青銅星章などを授与される。前回大統領選ではヒラリー・クリントンの副大統領候補と噂されたこともある。4月22日に立候補を表明し外交政策と安全保障政策を中心に掲げる。8月23日に撤退。 |
カーステン・ギリブランド(52)Kirsten Gillibrandニューヨーク州選出の上院議員。ダートマス大を卒業し、カリフォルニア大法科大学院で弁護士資格を取得。北京師範大学に留学し中国語に堪能。#MeToo運動に積極的に関わり、セクハラ疑惑ではトランプ大統領だけでなく同じ民主党議員に対しても厳しく追求した。1月15日に立候補表明、8月28日に撤退。 |
最初多すぎてわけわからん!と思っていたが、調べてみると皆それぞれに魅力あるひとかどの人物であることがわかる。いま選挙戦に残っている候補者たちもこれから大半は櫛の歯を引くように脱落していくのだろうが、大きな夢に挑んだこれらの人々を記憶に留めておきたいものである。
もっとも大統領選は絶好のプロモーションの機会でもあるので、熱意のある人はとことんまで粘ることがある。今回は早期に撤退したアラスカ選出の元上院議員、マイク・グラベルもかつてはバスを乗り継ぎながら選挙活動を続け、討論会ではオバマやヒラリーに炎の論戦を挑んでいった。
アメリカ現代政治の専門家である政治学者、前嶋和弘さんによると「アメリカ大統領選挙は成長物語」だと言う。今はまだ泡沫候補扱いの候補者もこれから化けるかもしれない。そして盤石と思われた候補が伸び悩みから焦りを生じて自ら失速していく例もこれまで何度も見た。
もちろん政治はエンターテイメントではないし、逆に他国の政治に安易に肩入れしたりするべきでもない。それ以前にアメリカの民主主義にははっきりと問題点がある。それでもアメリカ大統領選は他国の人間も惹きつける魅力がある。それは人間を個人として、集団として、そして生物として理解するための何かを見せてくれるからである。
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