『夏の光景』 (1869年)
そんなバジールの絵はアカデミズムと印象派の折衷という感じがする。印象派仲間の影響からか戸外を描いた作品が多いのだが、どうもこの人は屋外の光を描くのが上手くないようだ。この『夏の光景』もそうだが屋外の人物画はほとんど肝心の人物を完全な日陰に入れて描いている。
『村の眺め』(1868年)
遠くの光が当たっている背景は目がくらむようなまぶしさを感じさせる。バジールが描く陽光の下の風景はみなこのように平板に明るすぎる。ドガなどは光に過敏な体質であったために外で描くことをしなかったが、バジールにもその傾向があったのかもしれない。
逆に屋内を描くと微妙な陰影が冴える。
『お化粧部屋』(1870年)
各人物の魅力もさることながら衣類の質感の変化が素晴らしい。
バジールは29歳で戦死してしまうが、短い一生のうちに自分の様式を見出したとは言い難い。 作品を並べると「若描き」の不安定さが見えるのである。もし少なくとも中年まで生きていていればさらなる傑作をものにしていたのは間違いない。
印象派二軍列伝 1:フレデリック・バジール
印象派二軍列伝 2:カミーユ・ピサロ
印象派二軍列伝 3:アルフレッド・シスレー
印象派二軍列伝 4:ギュスターヴ・カイユボット
印象派二軍列伝 5:メアリー・カサット
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