金管楽器のピストンには緩衝材としてフェルトがはさまっている。 このフェルトは元の品質と使用頻度次第では結構すぐへたってしまう。特にテューバやユーフォニアムといったバルブの質量が大きいピストン楽器のフェルトはよくへたる。うちのテューバのフェルトもぺったんこになってきて交換が必要になってきたが、例によってヤマハとかメジャーなメーカーのもの以外はすぐ手に入らないしこれまたいいお値段がしたりする。
なのでの奏者の中には市販のフェルトなどを皮ポンチで打ち抜いて自作してしまう人がいる。例えばこんな感じ。左の青い薄い大きなフェルトが自作品、右3つが純正品である。
赤いのはバルブのすぐ裏に入れるフェルト。右の細いコルクとフェルトはバルブ内部に入れるものである。自作品は市販の手芸用フェルトを打ち抜いているのだが、純正品と比べて相当薄い。なので二枚重ね以上にして使用する。内部用のフェルトは本来サイズが違うのだが自作品ではそのまま同じものを使っても特に問題はない。
手芸用フェルトの問題点は糸くずが出ることである。テューバのようなおおざっぱな楽器ではそれで問題が起こることはまずないが、やはり気にはなる。あとやはり重ねず使えるような厚みも欲しい。Facebook上でこの話題が出たときにホームセンターで「シート」を買ってきて使っているという人がいた。「シート」?はて?
これかな?パンチカーペット。
80cm×20cmで100円弱。本当は10cmでも大きすぎるのだが、10cmだけ買うのは妙に気が引けて(笑)20cm分買ってきた。
こんな感じで打ち抜きます。
撮影のためにきれいに机の上に並べてみたが、もちろん作業自体は丈夫な床の上で、いらない厚い本などを敷いた上で行う。ガンガン激しく打ち付けるので集合住宅向きの作業ではない。最初に大きなポンチで外側を抜いてから中央の穴を開ける。手順を逆にすると激しく難易度が上がるぞ。
外側の大きなポンチが18mm(630円程度)、小さなポンチが6mm(210円程度)、中央の小さいプラスチック板は専用の下敷きでこれが400円くらい。この下敷きは一見無駄な出費のようだが、これがないと刃を傷めたり床に丸い模様を彫り込んでしまったりするので意外に必需品だ。
使うポンチのサイズはもちろん楽器によって違うのでノギスなどで正確に計って買いに行った方がよい。うちには適当に目分量で買ってそのまま棚の肥やしになっている4mm、5mm、7mm、12mmのポンチがある(笑)。
こうしてみると意外に安上がりというわけにはいかない感じだが、労力の方も結構なものである。革と違ってフェルトは打ち抜くのがちょっと大変なのだが、パンチカーペットはさらにハードで手が痛くなるくらいだ。当然サイズが大きくなるほど大変で、18mmともなると力を込めて数十回くらい叩かないと打ち抜けない。本当は大量に生産して保存しておきたいところだが、予備一個作るのが精一杯だった。
純正品と比べるとやや厚みが足りない気がしたのでノーマルのフェルトと薄いゴムのも追加用に作ってみた。
この2つは装着してみるとちょっと厚すぎたので結局使わなかった。パンチカーペットがへたってきたときに追加するといいかもしれない。
このように装着。
肝心の使用感だが、さすがに交換前のぺったんこになった自作フェルトに比べれば雲泥の差である。強く押さえてもコトコト音がきわめて低く抑えられている。強く押さえられるというのは素早く押さえられるということで、細かい音符がスパスパとキレてたいへん気分がよろしい。フェルトのような糸くず問題もなさそうだ。耐久性はまだ不明だが、フェルトよりは長持ちそうな感触がする。
一応申し上げておきますと、この記事の内容を実行されるときは自己責任でお願いします。
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追記:
この記事を書いた頃はあまり馴染みがなかったが、現在では通販でこの手の部品は気軽に購入できる。
金管楽器交換パーツ 通販|サウンドハウス
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※ebayでの購入の際には価格の下の「shipping(送料)」に注意。(たまにやけに高いことがある)
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