2013/07/13

今日のTED

TEDの講演動画から。日本語が表示されない場合は動画下部にマウスオーバーで現れるタブから字幕を選択できる。このページ埋め込みリンクで動画を観るよりタイトルのリンクで直接サイトに行った方が音も画質も良くておすすめ。


ダン•ギルバート:「私たちが幸せを感じる理由」

宝くじを当てた人も下半身不随に陥った人も、1年経てばそれぞれの幸福感に差はない。選択の余地がない状況を受け入れる時、人はそれが自分にとって良いことだったのだと納得させる。昔学校でそれは合理化という心の防衛、もしくは自己欺瞞のようなものと教えられたが、ダン・ギルバートは「幸せを自ら作り出す能力」として肯定的にとらえている。
 
そしてその敵は「選択の自由」である。人は交換がきくものには不満を憶える。民主的な国で自国の政治家に不満を感じない人はいない。我々は政治に不満が言えるのは良いことだと知っているが、エジプトの人々はやはりもう少し辛抱するべきだったということか。


マルコム・グラッドウェル、パスタソースと幸せについて

続いてまた人の人の幸せについて。というかパスタソースと商品の多様性について。ドロっとした固まり(chunky)のあるパスタソースは商品開発の調査によって生まれた。人は必ずしも最高のものだけを求めているのではないし、自分が本当に好きなものを知らないことがある。

ビル・クリントンやアル・ゴアの講演にも感じるが、魅力的な話者は具体的な題材と抽象的な結論の取り混ぜが上手い。特にこの人は些末な話から壮大な結論の飛躍が極端で面白い。

昔の加工食品というものはとにかく何でもかんでも味が決まっていた。オレンジジュースしかりポタージュスープしかり・・・ 今でこそ古典的な味を懐かしんだりするが、現在様々な美味しい加工食品が味わえるのも彼ら食品マーケティングの先駆者のおかげかもしれない。ところで「chunky」てそんなに面白い単語なのか。


ダニエル・ダネットの危険なミーム


アリの中枢を乗っ取って死ぬまで一定の行動を繰り返させる寄生虫がいる。ミームとはそのアリの寄生虫のように人の脳をハイジャックする「アイデア」のこと。伝染性があり、人に命を捧げる価値があると思わせるもの。それはウィルスのように単純であるがゆえに複製しやすい。

ミームには良性のものも悪性のものもある。自由・平等・民主主義・共産主義・資本主義・キリスト教・イスラム教・・・etc。様々な葛藤の歴史を経て免疫を付けた世界の人々は、他の世界にその普遍的「アイデア」を広める時には慎重にならないといけない。明言は避けているがこれはおそらくアラブ世界との問題に言及しているのだろう。

この人の講演は分かりやすい言葉を使い、あらゆる角度から論じて聴衆の思考を揺さぶる。そしてさすが哲学者だけあって誤解の起こらない言葉の選び方が練り込まれている。

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