以前からGiddings(&Webster)のアラン・ベア・モデルC管用とKronosを使用していたのだが、内径約33mmと32mmの間のサイズが欲しいというだけの理由でこのFossiモデル(32.75 mm)を選択した。
ギディングスのマウスピースは最近は国内で取り扱いが増えているとはいえ、マイナーなモデルはなかなか店に置いてなかったりする。なので電話で聞いたり遠くまで買いに行く手間を惜しんで通販という手段に訴えた。とはいえマウスピースは自分と楽器をつなく重要なパーツであって本来は店で試奏させてもらって買うべきであり、通販での購入は大枚をドブに捨てる覚悟が必要だ。
注文時の必要事項入力などは分かりやすいので英語とはいえ迷うことはあまりないだろう。というわけで(というかスクリーンショットを撮ってなかったので)注文過程は割愛し金の話に移ることにする。
本体価格は注文時のレート(1$=約110円)で約25,000円(税込み) 。送料の方は3600円程度と、はるばる太平洋を渡ってくることを考えるとまずまずリーズナブルか。
西海岸から東海岸に送られてからから日本に来る荷物
面白いのはそのはるばる渡ってくるルートである。
注文したのは4/30、発送のメールが来るのが5/7。ギディングス社のあるワシントン州アンダーソン島を出発してまずは同州シアトルに近いケントへ。
そのまま西海岸から出発するのかと思いきや、なんと我がマッピ君(予定)は2日かけて大陸横断して東海岸へ。ニュージャージー州ラザフォードまで送られる。
ラザフォードから同州リンドハーストへ、これは徒歩20分なので単なる積み替えか。ここで1泊してから州境を越えてニューヨーク市クイーンズ区ジャマイカへ。そして1日かけてまたニュージャージー州へ戻りニューアークへ輸送。この移動は仕分けなのかな?
そのニューアークからやっと東京へ飛ぶ。飛行機で1日、東京から2日かけて大阪に送られ、大阪で1泊してから翌日に滋賀の我が家に届いた。
5/7に発送して5/17日に到着ということで思ったよりはずいぶん早い感じはする。この謎の大陸逆横断&たらい回し(?)ルートは経済的合理性によるものだろうな。例えばシアトルから日本への貨物直行便はないとかあるいは高いとか、カリフォルニアまで送るのはNYよりコストがかかるとか?
試奏とインプレッション
このモデルのシグネイチャー主であるAlessandro Fossiという人の演奏については正直Youtubeで知っただけだが、相当な名手であるのは間違いない。イタリア人らしく(と言うとステレオタイプ的な印象だが、実際ベル・カントな吹き方である)音を長く歌ってつなげていく吹き方はマウスピースの設計によく現れている。まさにこういう風に吹きやすいこのマウスピースだ。
印象を順番に言葉にしていくと、まず「音が自動的に鳴る」ようなちょっと不思議な反応の良さがある。振動がレールに乗った音というか、上から下まで粒が揃った音が出る。
この唇の振動が均一になったようなマットなサウンドはなかなか気持ちが良い。逆に音色の変化などは付けにく、オーバーブロウの上限は低い。常に的確な息を要求するようなところがあり、ある種のツボの狭さがあるが、必要な息さえ送り込めば軽い吹奏感でしっかりとした音が鳴る。
最初気になったのは最近のモデルとしてはややリムが丸めなことで、ハードプレスする人には向かなさそう。しかしテューバのマウスピースサイズではハードプレスが向いている人は元々少ないし、音の鳴り方からして圧をかけない吹き方を推奨するような性格である。全体として地味ながら個性が強く、かつ完成度の高いマウスピースであると言える。
買う前の検討として上記フォッシ氏の動画を観たのだが、この人の吹き方やアンブシュアから自分に合っているような気はしていた。そして実際吹いてみるとかなりフィットした。以上は全く個人の感想だが、合う人にとっては傑作マウスピースと言えるものになるかもしれない。
----------
追記: 後にギディングス社からまた別のマウスピースを購入したところ、ニューヨークではなくロサンゼルスから日本に送られていた。発送ルートが距離的に合理的(?)になったのか。
0 件のコメント:
コメントを投稿