2019/05/13

ebayでテューバを買って大改造の巻 その1

最近人に誘われて地元にある英国式ブラスバンドの練習に行ってみたのだが、これがことのほか愉快であった。なのでもっと参加したいと思ったが、ブラスバンドの「バス」の譜面はinE♭またはinB♭の「ト音記号」である。その譜面をC管で吹くには1音ずらして読むことになるのだが、これが結構なストレスになる。

そもそもブラスバンドに興味を持ったのは普段「テューバ」の譜面ではめったにお目にかかれない真っ黒な譜面を吹きまくれるからである。とにかくバルブをぽっこぽこ押しまくりたい。そんな時に「読み替え」に足を取られたくない。

慣れれば良いと言われればまったくその通りだが、僕のブラスバンド活動は完全なる趣味なのでそのような「修行」に耐える気構えはない。ならばいっそ金で解決してやろうではないか。

というわけで中古のB♭管を探し始めた(バンドで空いていたポジションはB♭バスのパートなので)が、これがまぁあ~見つからない。そもそもテューバの中古はなかなか出回らないものである。

楽器屋さんに情報を聞いて回ったり国内外の様々な通販サイトやオークションサイトで何度も入札を検討したり検討したとたん売れてしまったり競り負けたり「売却済み」の商品写真を指くわえて1日5回見つめたり(本当)してるうちに、なんとかebayでこれを落札できた。

Tuba Yamaha YBB631 BBb 4 valve Excellent condition. Serviced.


理想としてはベッソンかブージー&ホークスの4バルブ・コンペイセイティング・システムのモデルが欲しかったが、そういうのはなかなか無い(※)上に、あっても予算オーバー。結局イギリスの出品者からこのヤマハの旧モデルを落札した。1900ポンドなので購入時のレートでだいたい30万弱、送料と関税を合わせて30万強といったところ。
(※E♭管は結構出回っているようだ。)


※この写真は後述の各改造を行った後に撮った再現写真。

YBB-631は新品で90万ほどなので状態を考えると格安とまではいかないが、まあこんなもんだろう。はるばるイギリスからこのデカブツを運んだわりには送料は意外に高くない。

その「状態」だが、まず出品タイトル「Excellent condition」と言うには少々厳しいコンディションではある。「Serviced」の補修箇所としてヘコみをたくさん直してあるが、その直し方があまりきれいじゃない。そして後述するいくつか「妙な改造」も施されている。内部もかなり汚れていた。



付いてきた現地のショップオリジナルと思われるソフトケースはジャストサイズでしっかりしていてなかなか良い。これ付きならそう高い買い物ではなかったなと思えるくらいだ。ただハードケースも付いてきて正直かなり邪魔・・・。



「妙な改造」その1。本来あるはずのピストンを押さえる手を置くハンドルがなく、変わりにこの変な細いバーが後から取り付けられている。オリジナルの状態から何かしら操作性を改善しようとしたのだろうが、ちょっと何考えてるんだか分からない改造だ。とにかくこの後付けハンドルもどきバーの感触は良くないので取り払ってしまいたい。


※この「後付けバー」はちょっとひん曲がっているように見えるかもしれないが、目の錯覚ではない。実際にこんな雑な造りである。

そして改造以前にこの楽器が持つ元の設計の問題が明らかになった。4番ピストンの配置と角度が悪くてめちゃくちゃ遠いのである!!!

 現行のYBB-632では改善されているようだが、このYBB-631ではよほど腕が長い人でもなければ一生懸命腕を伸ばして構えないといけない。当然音にも悪影響が出る。まさかヤマハという、品質に絶対的定評がある日本の大メーカーともあろうものが、体格を選ぶような設計をボンヤリと行っているとは思ってもみなかった。



 
 ※現行モデル YBB-632S(3番抜差管の間から斜めに立った4番ピストンを押すようになっている)

そしてマウスパイプの位置が低すぎる。これは現行632でも同じようだが、現在学校でよく使われているYBB-321IIのように低い位置にマウスパイプがあるので僕のような中肉中背&胴長の大人の男であれば膝の上に載せないといけない。しかし膝置きで構えるとコンペイセイティングで重量があるのでボトムの出っ張ったガードが太ももに楽器が刺さってくる。


というわけでまずは神戸の「グランド楽器」に持ち込んで調整をお願いする。
http://www.grandgakki.com/

実は他にも色々と問題があって、まずネジ止めの支柱がうまくはまっていないところ(多分ヘコ出し修理の際に外してちゃんと元に戻せなかったのだろう)や、ベルが歪んでまっすぐ置けなくなっていたのを修理してもらった。そして上記の妙ちくりん改造、後付けハンドルを取っ払う。

次にヤマハの基本設計による問題を解決する。とはいえ4番ピストンの位置を動かすのは不可能なので、マウスパイプの方を移動させる。浮かせて奥に持っていくことによって体の方を4番バルブに近づけ、高さも上げて楽器を座面に置いて吹けるようにした。





マウスパイプを浮かせるとベルに接する部品が減るのでレスポンスが改善したように感じる。最近は元からこう作られている楽器も多く、実はこれに関しては必ずしも良い影響が出るとは限らないのだが、この楽器に関してはうまくいったようだ。

さてここからさらに自力で改造を加えていったのだが、ちょっと記事がてんこ盛りになってきたので続きは次回の記事に回すことにする。


---[Tips]---

・テューバやユーフォニアムの中古はなかなか出ないものだが、ずっと探し回っていると日本では引っ越し季節の3月、そして3月に売った楽器が並ぶ4月にはそこそこ出てくるという気付きを得た。なので中古楽器を探してる人はお金を貯めて3月4月を待ちつつヤフオク等のページをブックマークして毎日リロードだ。

・海外のオークションはなかなか敷居が高いが、ebayはヤフオクの現行システムのように相手とはほぼやり取りなしで取引きできる。必要なのはPaypalの事前登録くらいか。注意点としてはヤフオクのように落札後すぐ対応する出品者は少ないようで、落札から発送まで1ヶ月くらいかかることもあるらしい。今回の出品者は落札から1週間かからずに発送してくれた。

・ebayの他によく見ていたのは「Reverb」というサイト。オークションではなく日本のデジマートのような楽器専門の通販サイトである。 テューバに関しては今のところ出品が偏っているので希望の品が見つかるかどうかはわからないが、日本語と日本円で表示されるのはわかりやすい。さらに公式サポートが日本語に対応しているのは安心できる。
https://reverb.com/marketplace/band-and-orchestra/tubas

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