2014/11/08

印象派二軍列伝 3:アルフレッド・シスレー

まがりなりにも歴史に名を残している画家をつかまえて二軍とはなにごとか、と言う感じだが、なにせお友達が高名すぎるのである。すごい時代もあったものだ。


シスレーはカミーユ・ピサロ曰く、「もっとも典型的な印象派」だそうである。生涯スタイルが変わらず、画風も人間性も生真面目だったせいでちょっと地味な存在だ。

『アルジャントゥイユのセーヌ河 』(1872年)

この人はキラキラと光る水面を描くのが抜群に上手い。モネの作品にはサムネイルで見ると写真みたいに見える絵がいくつもあるが、シスレーはさらに写真っぽい。というか現実の光景っぽい。光を描いた部分は本当に光って見える。近づいて見ると、筆跡バリバリのド印象派スタイルである。

『ポール=マルリの洪水』(1876年)

 バジールやピサロは弱光が得意なように感じるが、シスレーは野外の強光を上手く描く人だ。実際作品には晴れた昼間の風景が多い。と言いつつ今回選んだ3枚はなぜか曇り空か夕日の作品である。すこし暗い中で反射する光や影を濃く出す光のとらえ方が冴えている。彼は光と影のコントラストの画家なのだ。

『モレの教会』(1889年)

真横からまぶしく当たる夕陽と、浮遊したように溶け合う日陰の部分の対比が面白い。モネが光を色に還元してどんどん形をあいまいにしていったのに比べると、シスレーの関心はあくまで光が生み出す「形」にあったように思える。

シスレーにはモネやゴッホのような見たものを変えてしまうエゴはない。ひたすら目の前の光景に忠実だ。 そして手先の技術を駆使して驚かせるようなこともない。アルフレッド・シスレーは造物主の真似をしない、どこまでも真っ直ぐな画家だった。


印象派二軍列伝 1:フレデリック・バジール
印象派二軍列伝 2:カミーユ・ピサロ
印象派二軍列伝 3:アルフレッド・シスレー
印象派二軍列伝 4:ギュスターヴ・カイユボット
印象派二軍列伝 5:メアリー・カサット

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