2022/01/02

ebayでテューバを買って大改造の巻 ザ・ファイナル

さすがにここまで続くとは思ってなかったこのシリーズ、我ながら思えば遠くへ来たものである。

ebayでテューバを買って大改造の巻 その1
ebayでテューバを買って大改造の巻 その2
ebayでテューバを買って大改造の巻 リターンズ
ebayでテューバを買って大改造の巻 ザ・ビヨンド
ebayでテューバを買って大改造の巻 レボリューションズ
 
前回までは楽器の自前修理によって、ぬ!音が良くなったぞ!吹きやすくなったぞ!という望外のお喜びの声をお届けしたわけだが「楽器の性格を変える」という領域に踏み込んでしまったのでもっと先へ行きたくなった。やはり僕は腐っても(腐りきってるが)プレイヤーなので、たとえ楽器のモノとしての価値を損なっても自分の思うような音が出る道具が欲しいのである。

いまのところ僕が手にしたは「真鍮棒を切って削って支柱を作る」というものである。これが絶大な効果を発揮することは前回でご紹介した。ならばこいつでもっと楽器の性格を変えられないか。

前回で一応文句ない楽器に仕上がった初期型ヤマハYBB621であるが、まだ微妙に「響きが暴れる」感じがある。吹いた後に「ブオン」とふくらむような感じである。これをぎゅーっと締め上げたい。

というわけでこの場所に新たに支柱を立ててみようと思った。ちょうど他にマウスパイプの支柱が2本ある場所だからバランスが良いはずだ。(※再現写真)
 
これがなんと大失敗であった。とにかく、とんでもなく吹きにくい!
そして音が外れまくる!

いや~参った参った。楽器というのは机上の論理のようにはいかないものだな。実際にやって吹いてみないと分からない。
 
前回までの改造で一応は吹奏感とサウンドには満足のいく仕上がりにはなっている。ので、しばらく活動休止になっているブラスバンドの譜面をさらってみたところ、ある点に気付いた。やはりこの楽器には「ハンドル」が必要だ。
 
以前ストラップリングを加工して作ったこの指掛け。なかなか見た目も良いしシンプルで気に入っていたのだが、これだとゆっくり吹くぶんには良いが、細かいフィンガリングで手のひらがバタバタ暴れてしまうのである。テューバの重いピストンでは、特に3番管を素早く押さえる時に薬指の根本に支えるものがないと苦しい。
 
そこでネットで「真鍮 パイプ」と検索してみたのだが、真鍮の太いパイプは普通には売っていないようなのだ。銅パイプなら水道管用として売っている。このさいどうでもいいか?
 
入手したのは直径22mmの銅パイプで、これを加工して取り付けることにする。 
 
実はパイプを「砂を詰めて曲げる」加工にも挑戦してみたのだが、あえなく失敗した。それで直線で作ったのだが、角度を合わせてピッタリのサイズに仕上げるのは思いのほか難しく、これに至るまでかなりの失敗作を生み出した。
 
しかし実のところ、これもまた失敗作となった。「ハンドル」はどうしても楽器の荷重が大きくかかる。このように直角につなぐと楽器の管を変形させてしまうのだ。

やはり普通の純正ハンドルのように管に対して並行に曲げる必要がある。銅管を曲げる器具、パイプベンダーなら1万くらいで売ってるが・・・
 
結局1個百数十円のエルボー管を買ってつないでみた。
 
本体に付ける作業は思いのほか簡単だった。前のやり方が素人には難しすぎたのである。

これは点でハンダ付けしてあるだけなので頼りなく見えるが、意外にしっかりと付いている。場所は標準的なハンドルよりかなり「遠め」に設置している。僕は身長170cmの男性としてはかなり手が小さいのだが、指の動きに極力「遊び」をなくして確実なフィンガリングを目指す志向である。
 
このハンドルはあくまで演奏性の向上を狙ったもので、音や吹奏感の変化は最小に留めるよう工夫したのだが、それでもかなり変化があった。 オーバブロウ耐性が上がって音が割れにくくなったのは良いが、その分レスポンスが鈍く重苦しい吹奏感になってしまった。

なのでせっかく付けたこのマウスパイプの支柱を外す。

そして4番管の音がかなり吹きにくく「詰まる」感じになったのでこの部分の支柱も外した。

そうなると4番管の抜差管がブラブラになるのでこの部分に支柱を「横向き」にハンダ付けすることにした。

これまでの度重なる改造によってこの楽器はひたすら重くゴツゴツ鳴る方向に進化してきたが、ここへきて少し巻き戻して軽く鳴る方向性にしている。鳴りを抑えてしまうハンドルを加える以上、これは必要な調整である。サウンドのキャラクターはBbバスらしいダークさの中に若干のチープさを含んだ、やや軽めなものになった。どうやらこの辺が落とし所のようだ。

***

さてこの楽器の素人改造という大それた試みもそろそろ終わりが見えてきた。ゴミのような楽器を名器に変えるというところまでは行かなかったが、それでもかなり自分にとっての最適な楽器、自分の意思が伝わる道具にすることは出来た。

無論こんなことは決して人におすすめするような所業ではないが、自分にとっては楽器というものについての学びが多いチャレンジだった。とりあえずこの魔改造YBB621は次の演奏会で自分に何かしらの満足を与えてくれるだろう。





 

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